令和元年度 群馬県中学校長会 活動方針


 今日、我が国では、社会の現状や今後の変化等を踏まえ、国民一人一人が活躍し、豊かで安心して暮らせる持続可能な社会の仕組みづくりが求められている。教育界においては、平成29年3月に新学習指導要領が告示され、昨年6月には第3期教育振興基本計画が策定された。本計画には、自立した人間として、主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材を育成することが重点事項として掲げられるなど、新たな教育の方向性が示されている。

 学校現場では、チーム学校の推進により、複雑化・多様化する諸問題への着実な対応や部活動の適正化を図っているが、依然として教員の長時間勤務は大きな課題であり、個別業務の役割分担や適正化が求められている。このような現状から、本来教員が担うべき業務の精選・明確化等を通じ、教育の質の向上や教員の負担軽減に向けた働き方改革について総合的に検討していく必要がある。
 我々校長は、人間尊重の精神に徹し、新たな時代を切り拓き、よりよい社会を創り出す力を育む教育を推進するとともに、教育が普遍的に目指す根幹を大切にしつつ、今日的な課題を踏まえた新しい時代に求められる学校づくりに向けてリーダーシップを発揮しなければならない。

県中学校長会は、会則に則り、全日中教育ビジョン「学校からの教育改革」(平成28年度改訂版)を踏まえ、次の基本方針及び活動の重点等に基づき、本会の運営に当たる。


            
 

1 基本方針

(1) 本会の目的である「県下中学校長間の緊密な連絡提携を図り、中学校教育の振興に寄与すること」の達成に向けて、本会の組織と機能を充実させる。
(2) 県中学校長会の存在意義を踏まえた主体性を発揮するとともに、県教育委員会及び関係諸機関等との連携を深め、学校教育の課題への対応と改善を図る。
(3) 校長の学校経営力の向上を図り、県民の信託に応える中学校教育の創造に努める。
(4) 第70回全日中研究協議会群馬大会の円滑な実施に努める。
 
2 活動の重点

(1) 本会の組織と機能の充実に関すること
  @ 専門部や特別委員会及び郡市中学校長会が一体となった活動を推進する。
  A 専門部や特別委員会の活動を充実させるとともに、組織・事業の継続的な見直しと改善を図 る。
  B 理事研修会等を通じて全日中教育ビジョン「学校からの教育改革」を踏まえた学校経営の充実に資する。
  C 被災地の学校教育の正常化への支援と県内各地域・学校における防災教育の充実に努める。
  D 本会の諸活動や国、県の教育行政の動向などの情報を会員に周知する。

 (2) 県教育委員会及び関係諸機関等との連携に関すること
  @ 県教育委員会と連携・協力し、学校における業務の精選を進めるとともに、中学校教員の勤務の現状を考慮し、教員が担うべき業務に専念できるよう、チームとしての学校の実現に向けた専門職員の配置等、勤務環境の改善を求める。
  A 学びの質の向上ときめ細かな指導のため、各校の教育課題に即した加配をはじめとする人的資源の一層の配置拡充及び施設・設備の整備の充実を求める。
  B 教育課程の円滑な実施の見地から、免許外教科担任の解消を図る非常勤講師制度を活用するための人材確保と適切な教員の配置を求める。
  C 教育水準の維持向上と教職員が職務に専念し、より一層充実した教育活動が展開できるよう「教科書無償給与制度」、「義務教育費国庫負担制度」及び「人材確保法」等の堅持を求める。
  D 県総合教育センターや県小学校中学校教育研究会など各教育研究機関・団体との連携・協力のもと、県から示された「群馬県教員育成指標」や今日的な教育課題に即した研修の在り方について協議し、その改善・充実に努めるとともに、教職員の資質の向上を図る。
  E 高等学校の入学者選抜制度や実施上の諸問題を検討し、改善を求めるものについては、県教育委員会、県高等学校長協会、県私立小・中高等学校協会に提言・要望していく。
  F 県中学校体育連盟との連携を強化するとともに、「中学校・高等学校運動部活動指導資料(県教育委員会)」や「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」、「適正な部活動の運営に関する方針」を踏まえ、適正な部活動の運営と勤務時間の適正化に努める。
   G 県民全体で共に教育を考え、語り、豊かな未来を切り拓く子どもを育てていく視点から、「ぐんま教育の日」の活動の推進・充実に向け、関係する各種団体との連携を深める。

 (3) 校長の学校経営力の向上に関すること

 【新しい時代に必要となる資質・能力を育む教育課程の編成・実施・評価・改善について】
  @ 教育に関する諸改革に適切かつ迅速に対応するとともに、本会及び各郡市(地区)中学校長会の研修会及び研究協議会の充実を図り、校長の学校経営力の向上に資する。
  A 新学習指導要領の趣旨及び移行期間中の教育課程の編成についての理解を深めるとともに、令和3年度からの全面実施が円滑に行われるよう、文部科学省並びに県教委の行政説明等を共有・伝達し、各学校の取組に生かす。
  B 関地区中並びに全日中研究協議会における各都道府県の研究成果を共有・伝達し、各学校の取組に生かす。
  C 県内各学校の学力向上を図るため、学びの質の向上について研究したり、優れた実践を紹介したりする。
  D 授業時数の確保や教育計画作成上の課題、きめ細かな指導やキャリア教育等の課題に対する取組など教育課程に関する実態調査や研究を推進し、各校の適正な教育課程の編成・実施・評価・改善に資する。
 【家庭や地域社会に信頼される学校づくりについて】
  E 教員が担うべき業務の精選とともに、勤務時間に関する意識改革を行い、配置されている多様な専門性をもつ職員の力を活かす連携、協働の在り方を工夫し、チームとしての学校づくりに資する。
  F 各学校における教職員の服務規律の確保と教職員としての使命感や倫理観の高揚を図るために、小学校長会と合同で倫理委員会を設置し、リーフレット「子どもたちが安心して活動できる学校であるために」を改訂し、その活用を図る。
  G 多面的な学校評価の実施と学校評議員制度や人事評価制度の活用に関する情報交換や研修に努める。
  H 生徒の自己指導能力の育成を図る生徒指導並びに不登校やいじめ等生徒指導上の課題解決に 向けたチーム学校の推進に資する研修と啓発を行う。

(4) 全日中研究協議会群馬大会の実施に関すること
  @ 全日中研究協議会群馬大会の実行委員会や運営委員会における協議内容、決定事項の会員への周知徹底を図る。
  A 既存の専門部・特別委員会を活かした大会運営組織により効率的に準備を進め、円滑な大会実施に努める。


                                                        
  

宣   言 

 今日、我が国の教育は、人格の完成とともに、すべての人が活躍し豊かで安心して暮らせる社会を創るたくましい人間を育成する使命を担っている。
 我々校長は、人間尊重の精神に徹し、社会を生き抜く力を育む教育を推進するとともに、教育が普遍的に目指す根幹を大切にしつつ、今日的な課題を踏まえた新しい時代に求められる学校づくりに向けてリーダーシップを発揮しなければならない。
 県中学校長会は、「新たな時代を切り拓き、よりよい社会を創り出していく日本人を育てる中学校教育」の実現に向け、新たな中学校教育の創造を目指し、県民の信託に応えることを宣言する。

決   議

 第73回総会に当たり、以下の事項を決議する。

 一 人間尊重の精神に徹し、「社会を生き抜く力」を育む教育の推進に努める。
 一 新学習指導要領で示された「社会に開かれた教育課程」を編成・実施・評価・改善し、新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、家庭・地域との一層の連携に努める。
 一 現在の課題に即した研修を充実し、教職員の育成指標を目指した資質・能力の向上と使命感の高揚に努める。
 一 教育活動の充実を目指し、人的措置をはじめとする教育諸条件の整備・充実を期する。
 一 「教科書無償給与制度」「義務教育費国庫負担制度」及び「人材確保法」の堅持を要請し、教育水準の維持向上を期する。
 一 東日本大震災をはじめ災害等により被災した地域の復興を期し、教育活動の充実に向けた支援と県内各地域・各学校の防災教育の充実に努める。

     令和元年5月14日        第73回群馬県中学校長会総会
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