令和4年度 群馬県中学校長会 活動方針

           
 今日、我が国では、社会の現状や今後の変化等を踏まえ、国民一人一人が活躍し豊かで安心して暮らせる持続可能な社会を目指し諸改革が進められている。教育界においては、平成29年3月に新学習指導要領が告示され、昨年度より全面実施となった。群馬県においても第3期群馬県教育振興基本計画が策定され、子供たちが予測困難な未来をたくましく生きる力を育む教育の方向性が示された。
 一方、学校現場では、いじめや自殺の根絶、不登校の未然防止、発達障害、LGBT、外国籍など社会的マイノリティな生徒に対する理解の促進、また、貧困や虐待からの子供たちの保護や過剰な要求をする保護者への対応、更には新型コロナウイルス感染症に係る対応等、昨今の社会情勢を受け一層複雑化・多様化した課題への対応が求められている。こうした中、本来教員が担うべき業務の精選・明確化を通じ、教育の質の向上や教員の負担軽減に向けた働き方改革について総合的に検討していく必要がある。
 我々校長は、人間尊重の精神に徹し、新たな時代を切り拓き、よりよい社会を創り出す力を育む教育を推進するとともに、教育が普遍的に目指す根幹を大切にしつつ、今日的な課題を踏まえた新しい時代に求められる学校づくりに向けてリーダーシップを発揮しなければならない。
 県中学校長会は、会則に則り、全日中教育ビジョン「学校からの教育改革」を踏まえ、次の基本方針及び活動の重点等に基づき、本会の運営に当たる。

 

1 基本方針
 
 (1) 本会の目的である「県下中学校長間の緊密な連絡提携を図り、中学校教育の振興に寄与すること」の達成に向けて本会の組織と機能を充実させる。

 (2) 県中学校長会の存在意義を踏まえた主体性を発揮するとともに、県教育委員会及び関係諸機関等との連携を深め、学校教育の課題への対応と改善を図る。

 (3) 校長の学校経営力を高め、県民の信託に応える中学校教育の創造に努める。

           
 
2 活動の重点

(1) 本会の組織と機能の充実に関すること【基本方針(1)】

  @ 専門部や特別委員会及び郡市中学校長会が一体となった活動を推進するとともに、組織・事業の継続的な見直しと改善を図る。
  A 本会の諸活動や国、県の教育行政の動向などの情報について、理事研修会等を通じて会員に周知する。                           
  B 全日中教育ビジョン「学校からの教育改革」を踏まえた学校経営の充実に資する。
  C 被災地の学校教育の正常化への支援と県内各地域・学校における防災教育の充実に努める。

 (2) 県教育委員会及び関係諸機関等との連携に関すること【基本方針(2)】

  @  県教育委員会と連携・協力し、勤務環境の改善や学校における業務の精選を進め、教員が担うべき業務に専念でき、より強いチーム力を発揮できる学校の実現を目指す。
  A  学びの質の向上ときめ細かな指導のため、各校の教育課題に即した加配をはじめとする人的資源の一層の配置拡充及び免許外教科担任の解消を図る非常勤講師制度を
    活用するための適切な教員の配置を求める。
  B  教育水準の維持向上と教職員が職務に専念し、より一層充実した教育活動が展開できるよう「教科書無償給与制度」「義務教育費国庫負担制度」及び「人材確保法」等の堅
   持を求める。
  C  県総合教育センターや県小学校中学校教育研究会など各教育研究機関・団体と連携・協力しながら研修を充実させ、教職員の資質向上を図る。
  D  高校入試に関わる諸問題の改善に向け、県教育委員会、県高等学校長協会、県私立小・中・高等学校協会に提言・要望を行う。
  E  県中学校体育連盟と連携し、「適正な部活動の運営に関する方針(県方針)」を踏まえ、適正な部活動の運営と勤務時間の適正化に努める。
  F  県民全体で共に教育を考え、語り、豊かな未来を切り拓く子どもを育てていく視点から、「ぐんま教育の日」の活動の推進・充実に向け、関係する各種団体との連携を深める。

 (3) 校長の学校経営力の向上に関すること【基本方針(3)】
     【新しい時代に必要となる資質・能力を育む教育課程の編成について】

  @ 教育に関する諸改革に適切かつ迅速に対応するとともに、本会及び各郡市(地区)中学校長会の研修会及び研究協議会の充実を図り、校長の学校経営力の向上に努める。
  A 校長のリーダーシップのもと、各学校におけるカリキュラムマネジメントを充実させ、社会に開かれた教育課程を編成する。
  B 全体研究協議会において、学びの質の向上について研究したり、優れた実践を紹介したりして、県内各学校の学力向上に繋げる。
  C 教育計画作成上の課題やきめ細かな指導、キャリア教育等の課題に対する取組など教育課程に関する実態調査や研究を推進し、各校の適正な教育課程の編成・実施・評価
    ・改善に資する。
  D 関東甲信越地区中学校長会研究協議会並びに全日本中学校長会研究協議会における各都道府県の研究成果を共有・伝達し、各学校の取組に生かす。

    【家庭や地域社会に信頼される学校づくりについて】
  E 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、新しい生活様式の徹底を図るとともに、正確な情報収集と実態把握に努め、安心・安全な教育活動を推進する。
  F 教員が担うべき業務の精選を図るとともに、勤務時間に関する意識改革を行い、配置されている多様な専門性をもつ職員の力を活かす連携、協働の在り方を工夫し、チームとし
   ての学校づくりに資する。
  G 各学校における教職員の服務規律の確保と教職員としての使命感や倫理観の高揚を図るために、小学校長会と合同で倫理委員会を設置し、リーフレット「子どもたちが安心して
   活動できる学校であるために」を改訂し、その活用を図る。
  H 多面的な学校評価の実施と学校評議員制度や人事評価制度の活用、コミュニティ・スクールに関する情報交換や研修に努める。
  I 生徒の自己指導能力の育成を図る生徒指導並びに不登校やいじめ等生徒指導上の課題解決に向けたチーム学校の推進に資する研修と啓発を行う。

  

宣   言

 
今日、我が国の教育は、人格の完成とともに、すべての人が活躍し安心して暮らせる持続可能な社会を創る豊かでたくましい人間を育成する使命を担っている。
 我々校長は、人間尊重の精神に徹し、社会を生き抜く力を育む教育を推進するとともに、教育が普遍的に目指す根幹を大切にしつつ、今日的な課題を踏まえた新しい時代に求められる学校づくりに向けてリーダーシップを発揮しなければならない。
 県中学校長会は、「新たな時代を切り拓き、よりよい社会を形成していく人間を育てる中学校教育」の実現に向け、新たな中学校教育の創造を目指し、県民の信託に応えることを宣言する。

決   議

 第76回総会に当たり、以下の事項を決議する。
  
 
一 人間尊重の精神に徹し、「社会を生き抜く力」を育む教育の推進に努める。
 一 新学習指導要領で示された「社会に開かれた教育課程」を編成し、新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、家庭・地域との連携・協
   働に努める。
 一 今日的な課題に即した研修を充実し、教職員の育成指標を目指した資質・能力の向上と使命感の高揚に努める。
 一 新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、新しい生活様式の徹底を図り、安心で安全な教育活動の推進に努める。
 一 教育活動の充実を目指し、人的措置をはじめとする教育諸条件の整備・充実を期する。
 一 「教科書無償給与制度」「義務教育費国庫負担制度」及び「人材確保法」の堅持を要請し、教育水準の維持向上を期する。
 一 東日本大震災をはじめ災害等により被災した地域の復興を期し、教育活動の充実に向けた支援と県内各地域・各学校の防災教育の充実
   に努める。


     令和4年5月11日          第76回群馬県中学校長会総会

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