令和7年度 群馬県中学校長会 活動方針

 

今日、我が国の学校教育は、個別最適な学びや協働的な学びの実現により、すべての子供の可能性を引き出す「令和の日本型学校教育」の構築を目指している。群馬県も群馬県教育ビジョン(4期群馬県教育振興基本計画)を策定し、これを受けた学校教育の指針において、子供も大人もエージェンシーを発揮する教育活動の充実として学校経営に係る9つの視点を示している。
 本県の各中学校では、このような国や県及び市町村の方針を受け、校長の経営方針に基づいて具体的な実践を進めている。しかし同時に、いじめや自殺の根絶、増加する不登校や一層多様化する子供たちへの対応に加え、Society5.0に向けた教育のデジタル化の促進、本来教員が担うべき業務の精選・明確化をはじめとする働き方改革による多忙化解消等、複雑で喫緊な課題への対応が求められている。併せて、急速に進む社会の情報化、不安定な世界情勢、さらには多発する自然災害など、予測困難な時代を既に迎えている今日、我々校長は新しい時代に求められる学校づくりのために、研鑽を積み質の高い学校経営を実現しなければならない。
 群馬県中学校長会は、このような現状を鑑み、県内すべての校長が人間尊重の精神に徹して教育が普遍的に目指す根幹を大切にしつつも、新たな時代を切り拓き、よりよい社会を創り出す力を育む教育を推進できるよう県下中学校長間の緊密な連絡提携を図り、中学校教育の振興に寄与していく。その目的達成のため会則に則り、全日中新教育ビジョン「学校からの教育改革」を踏まえ、次の基本方針及び活動の重点等に基づき、本会の運営に当たる。 

1 基本方針

 
 (1) 本会の目的である「県下中学校長間の緊密な連携を図り、中学校教育の振興に寄与すること」を達成するために、本会の組織と機能を充   実させる。
  (2)  学校教育の課題への対応と改善を図るために、県中学校長会の存在意義を踏まえた主体性を発揮し、県教育委員会及び関係諸機関との連   携を深める。
  (3)  県民の信託に応える信頼される学校づくりのために、校長の学校経営力を高めるよう努める。

 

2 活動の重点

 (1)  本会の組織と機能の充実に関すること【基本方針(1)
 @ 全日中新教育ビジョン「学校からの教育改革」を踏まえ、専門部や特別委員会及び郡市中学校長会が一体となった活動を推進するとともに、各々の   組織・事業の継続的な見直しと改善を図る。
 A 本会の諸活動や国、県の教育行政の動向等の情報について周知し、各校長の経営力向上及び負担軽減に資するよう全体研究協議会や理事研修会等の   運営を工夫する。
 (2) 県教育委員会及び関係諸機関との連携に関すること【基本方針(2)
 @ 教員が担うべき業務に専念し、より強いチーム力を発揮できる学校の実現に向けた勤務環境の改善や学校における業務の精選について、県教育委員  会へ求める。
 A 学びの質の向上ときめ細かな指導のため、各校の教育課題に即した加配定数及び各種非常勤講師等の配置拡充とともに人材の確保を求める。
 B 教育水準の維持向上と教職員が職務に専念し、より一層充実した教育活動が展開できるよう「教科書無償給与制度」「義務教育費国庫負担制度」及  び「人材確保法」等の堅持を求める。
 C 県総合教育センター等の各教育研究機関・団体と連携・協力しながら研修を充実させ、教職員の資質向上を図る。
 D 高校入試に関わる諸問題の改善に向け、県教育委員会、県高等学校協会、県私立小・中・高等学校協会に提言・要望を行う。
 E 県教育委員会及び県中学校体育連盟と連携し、適正な部活動の運営と勤務時間の適正化に努めるとともに、部活動の地域展開に係る課題について協  議を進める。
 F 県民全体で共に教育を考え、語り、豊かな未来を切り拓く子供を育てていく視点から、「ぐんま教育の日」の活動の推進・充実に向け、関係する各  種団体との連携を深める。
 (3) 校長の学校経営能力の向上に関すること【基本方針(3)
  @ 理事研修会において、以下のような時事的な教育課題や教育に関する諸改革についての情報交換や県教委等からの研修を実施する。
  ・教員が担うべき業務の精選による生徒と向き合う時間の確保と勤務時間縮減の高揚    
  ・配置されている多様な専門性をもつ職員の力を活かす連携や協働の在り方の工夫
  ・生徒の自己指導能力の育成を図る生徒指導並びに不登校やいじめ等生徒指導上の課題解決に向けたチーム学校の推進と啓発
  ・教育活動を継続していくために必要な感染症対策や熱中症対策等の徹底
  ・学校運営協議会によるコミュニティ・スクールの在り方
  ・防災教育をはじめとする危機管理体制の充実
 A 全体研究協議会において、全日中新教育ビジョン「学校からの教育改革」を踏まえ学校経営について協議したり、優れた実践を紹介したりする。
 B 教育課程に関する実態調査や研究を推進し、各校の適正な教育課程の編成・実施・評価・改善やカリキュラムマネジメントの充実に資する。
 C 関東甲信越地区中学校長会研究協議会並びに全日本中学校長会研究協議会における各都道府県の研究成果を伝達・共有する。
 D 小学校長会と合同で倫理委員会を設置し、リーフレット「子どもたちが安心して学べる学校であるために」を改訂し、活用することで、教職員の服務規律の確保と教職員としての使命感や倫理観の高揚を図る。


宣   言

我が国の教育は、人格の完成とともに、すべての人が活躍し安心して暮らせる持続可能な社会を創る豊かでたくましい人間を育成する使命を担っている。今日の社会は、多発する自然災害や新たな感染症の発生、急速な技術革新や不安定な国際情勢など予測困難な時代を迎え、様々な課題に直面している。
 我々校長は、人間尊重の精神に徹し、社会を生き抜く力を育む教育を推進するとともに、教育が普遍的に目指す根幹を大切にしつつ、今日的な課題を踏まえた新しい時代に求められる学校づくりを実現していかなければならない。
群馬県中学校長会は、「新たな時代を切り拓き、よりよい社会を形成していく人間を育てる中学校教育」の実現に向け、新たな中学校教育の創造を目指し、県民の信託に応えることを宣言する。

決   議
第79回総会に当たり、以下の事項を決議する。
一、 人間尊重の精神に徹し、「社会を生き抜く力」とともに「よりよい社会を形成する力」を育む教育推進に努める。
一、 「社会に開かれた教育課程」を編成し、新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、家庭・地域との連携・協働に努める。
一、 今日的な課題に即した研修を充実し、教職員の育成指標を目指した資質・能力の向上と使命感の高揚に努める。
一、 教育活動の充実を目指し、人的措置をはじめとする教育諸条件の整備・充実を期する。
一、 「学校における働き方改革の推進」「教職員の勤務実態を踏まえた環境整備」を求め、有効かつ持続可能な指導・運営体制の構築を期する。
一、 「教科書無償給与制度」「義務教育費国庫負担制度」及び「人材確保法」の堅持により、教育水準の維持向上に期する。
一、 災害等により被災した地域の復興を期し、教育活動の充実に向けた支援と県内各地域・各学校の防災・安全教育に努める。
   令和7年5月13日            第79回群馬県中学校長会定期総会
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